ハッピー☆ウエディング
どうしてここがわかったの?
やっぱり、あたしに気づいてたの?
なら、声をかけてくれればよかったのに。
わからない事がたくさんある。
あたしはまだ二人の会話についていけない。
でも、さっきから妙に親しげなこの二人はなんなんだろう。
瑛太は、氷が溶けてぬるくなったグラスの中身をグイッと飲み干した。
慶介はあたしの隣に腰を下ろして、コーヒーを口に運んだところだ。
「いい加減、うちに顔出したらどうだ?俺にも連絡しないで、誠二(セイジ)さん心配してるぞ」
慶介は目を伏せたままそう言った。
「心配って・・・アイツはただ跡継ぎが欲しいだけじゃん。俺は親の敷いたレールの上をのこのこ生きるなんて絶対イヤだ。俺には夢があんだよ」
瑛太は、面倒くさそうに言うとたばこを銜えた。
「・・・おい。未成年が吸うな」
慶介のその一言で瑛太の手がビクンと止まった。
「俺、今月でハタチだもん」
唇を尖らせた瑛太。
まるで親子の会話だ。
あたしはジュースのストローを口に銜えたままその様子を見つめた。
なんか、慶介いつもと印象違うし・・・お兄ちゃんみたい。
そう思うと可笑しくて一人で含み笑いしてしまう。
「あ~あ。それにしても慶介さんの彼女が葵だったなんてなぁ。つか、コイツまだ16なんだろ?慶介さん、軽く犯罪?」
あたしと慶介を交互に見て、意地悪そうに言った瑛太の顔は勝ち誇っているかのよう。
そんな~彼女だなんて~あはは。
「彼女」という言葉にあたしの頬は勝手にピンクに染まる。
瑛太の意地悪な言葉も今のあたしの耳には入ってこない。
ん?
待って待って。
瑛太と慶介の会話おかしくない?
だって、だとしたら。
だとしたら瑛太が・・・・・・・・。