ハッピー☆ウエディング
「・・・・あああああ!」
その瞬間、まるで最後のパズルのピースが埋まった気がした。
そうだったんだ・・・。
あたしの大きな声に瑛太も慶介も体をビクンと震わせた。
「な、なんだよ。急に」
瑛太はこぼれそうになっていたたばこの灰を急いで灰皿に落とした。
「も、もしかして・・・社長の一人息子?」
「はあ?」
眉間にシワを寄せて、あからさまに迷惑そうにあたしを見た瑛太を指差した。
「・・・やめろよ。その言い方」
そう言って、グイっとたばこを灰皿に押し付けて消した。
慶介を見上げると、相変わらずコーヒーを味わっている。
そしてあたしが見ているのに気づいて視線だけをこちらに向けた。
「言ってなかったっけ?息子の名前は瑛太。バンドバカ」
「・・・・・・言ってない」
「おい。バカってゆうな」
すねた表情の瑛太。
慶介はそれを面白そうにチラリと見た。
「昨日、葵の様子がおかしかったから気になって今日家に寄ったんだ。そしたら、弟があのライブハウスを教えてくれた」
コーヒーカップをテーブルに置くと慶介はソファの背もたれに身を預けながら言った。
「この一年、ずっと瑛太を探してたから、こんなに簡単に見つかって・・・なんか拍子抜けしてる。初めから葵に聞けばよかったのかもな」
なんて、意味深にあたしと瑛太を眺める慶介。
うぅ・・・。
やっぱりさっき(告白)の聞かれてたんだ。
ほんの少し口の端を上げて意地悪く笑う慶介の瞳。
あたしは、急に恥ずかしくなって、もうほとんど残っていないジュースを思いっきり吸い込んだ。