ハッピー☆ウエディング
ラブ・バラード
二人の話でわかった事がたくさんある。
兄弟がいない瑛太は、慶介を兄のように慕っていて父親にも言えないような悩みも相談してみたい。
慶介の両親が再婚してからの付き合いの彼等。
そして、瑛太と絵梨ちゃんもその頃に許婚として決められていたんだって。
だから、両親が亡くなった時に、絵梨ちゃんは先を見越して瑛太と同じ屋根の下で暮らすようになった。
ずっと慶介が好きだった絵梨ちゃん。
一体、どんな気持ちでいたんだろう・・・・
それを想うとなんだか胸が苦しくて、あの日の絵梨ちゃんの涙があたしの頭によぎった。
元はと言えば、瑛太が家出をしたばっかりにあたしと慶介は婚約する事になってしまった。
この自分勝手な瑛太を本当なら怒るところなんだけど、今のあたしは逆に瑛太に感謝の気持ちでいっぱいだ。
慶介と出会えたのは、瑛太が家を出たことがきっかけなんだから。
あたしは慶介を見上げた。
瑛太の話を時々意地悪を言いながら聞いている慶介。
その瞳はとても優しくて、深い愛情を感じる。
この顔、あたしは前に見た。
絵梨ちゃんを見る時の目だ。
深い深い家族愛。
本当に大事に思ってるんだなぁって、心の中がほんわかあたたかくなるのを感じだ。
「瑛太、お前ちゃんと家に帰れよ」
慶介は瑛太を見つめて言った。
慶介の言葉に、瑛太は俯いたままライターの火をカチカチとつけた。
「瑛太が本気で音楽を続けていきたいなら堂々と言えばいいんだ。ちゃんとお前の口から誠二さんを説得してみろよ。誠二さんは本当に心配してる。絵梨だってそうだ」
瑛太はいじっていたライターをグッと握りしめた。
「・・・・わかってんだよ」
まるで独り言のように、小さく言った瑛太はあたしへその視線を移した。