ハッピー☆ウエディング
あたし達の間でほんの少し、流れた沈黙。
「あ・・・・そうだ」
その沈黙を破ったのは慶介だった。
「今日のライブ、良かったよ」
「え?」
慶介のその言葉に瑛太は顔を上げた。
「いい声してるな、瑛太」
口の端をクイッと上げて笑う慶介。
さらっと言った言葉だったけど、瑛太にはその気持ちが十分届いてたと思う。
「・・・・・あたりまえだろ!」
照れくさそうに言った彼は、太陽のように笑った。
帰り道。
瑛太と別れ、慶介の車の中。
ラジオから流れる、ラブバラード。
その甘いメロディに、落ち着かないあたしの頬は赤くなっちゃう。
気づかれないように黙ってハンドルを握る慶介を盗み見た。
街のネオンに照らされて、慶介の顔は七色に輝いて見える。
さらさらの長めの前髪が、ハンドルを握る動きに合わせて揺れてる。
そのすべてがあたしの五感をくすぐる。
このまま、永遠にうちに着かなければいいのに・・・・
慶介の横顔を見つめながら、あたしはそんなこと願ってた。