ハッピー☆ウエディング
そこから見えた景色にあたしは首を捻った。
黒い車が2台、うちの前に停まってた。
食入るように外を眺めていると、
「葵ーちょっと降りてきなさい」
階段の下から父が呼んだ。
「はあーい」
あたしはとりあえず一階にいる父に返事をして携帯を耳に当てた。
「もしもし瑛太?ごめんね、お父さんに呼ばれちゃった。切るよ?」
『え?あ・・・おい・・・・・』
その瞬間、瑛太がなにか言いかけたけどあたしはそまま電話を切ってしまった。
あとでまたかけなおそう。
そう思って、あたしは携帯をベッドに放り投げ一階へ向かった。
緩やかなカーブを描く階段を降りていくとリビングから話し声が聞こえた。
木目調の枠で囲まれた半透明のガラスから見え隠れする人影に、スーツを着た男の人が3人いる事がわかった。
2人が座っていて、もう1人は一歩さがったところに座っている。
その正面に、うちの両親が座っていた。
・・・なに?
・・・・・・誰なの?
あたしは恐る恐るドアノブに手をかけてリビングのドアを開けた。
まるでスローモーションのように映像がゆっくり流れていく。
自分の足元から顔を上げると、あたしは息を呑んだ。
「・・・・・・慶介?」