ハッピー☆ウエディング


ポツリと呟いたあたしの声に、そこにいた全員が顔をこちらに向けた。


部屋にいたのは、慶介・・・・・・。



机の真ん中には中年太りした恰幅の良い五十代位の男性。
その後ろに、体格の良いちょっと強面の四十代位の男性だった。


こう三人を見ると背の高い慶介も華奢で小さく見えた。




あたしがドアの前で突っ立っていると、母があたしを手招きした。



「葵、ほら・・・・こっちにいらっしゃい」



あたしは呼ばれるままに母の隣に腰を下ろした。



一体どうゆう事?


慶介に視線を向けると、慶介は下を向いたままあたしを見ようとはしなかった。








なんとなくわかる。




とてもやな空気が流れてるって事。




胸がドキドキしてその音がやけに耳に届いて、あたしは思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。





「植草さん・・・・・」





わずかな沈黙の後、最初に口を開いたのは真ん中に座る恰幅の良い男の人だった。




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