ハッピー☆ウエディング
こんな状況でも、慶介を見ると胸が高鳴ってしまう・・・。
黒地の細身のスーツにチェックのネクタイ。
綺麗目にセットされた髪。
お洒落な黒縁の眼鏡の奥には伏し目がちの目。
長い睫毛・・・・
あたしをいつもとろけさせてくれた甘い唇・・・・
彼の存在の全てがあたしの体を刺激した・・・・
どうしてあたしを見てくれないの?
婚約解消したらすぐに他人に戻ってしまうの・・・・?
だんだん視界がぼやけてきてあたしは視線を落とした。
左の薬指にはまだ輝いてる愛の証。
あたしはそれにそっと触れた。
溢れ出しそうな涙はかろうじてそこに止まってくれていた。
ここで泣きたくはない。
あたしは下唇を噛み締めてグッと涙を我慢した。