ハッピー☆ウエディング
通話ボタンを押す。
数回のコール音の後、すぐに聞こえたのは瑛太のハスキーな声。
『・・・・葵!?』
ひどく心配していたのが声から伝わった。
『おまえ・・・どこにいんの?全然電話繋がんないから・・・・心配したんだぞ」
安堵の溜息とともに、少し怒ったような瑛太。でも、その言葉はすごく優しかった。
あたしは、それにただ素直にうなずいた。
「うん。ごめん」
『・・・・・・・・・・あー・・・まぁいいけど』
予想外のあたしの反応に、瑛太は何かを悟ったようだった。
携帯を握りしめていた手がすごく冷たい。
まるで氷のようになった自分の手をギュッと握り締めた。
左手にはまだ指輪がついてる。
これも、返すのかな?
ポタポタと左手に雫が落ちた。
「・・・瑛太・・・あたしね・・・・・・・あたし、慶介にフラれちゃった・・・」
なんでかな?
なんでこんなに涙がでんのかな?
苦しいよ・・・
苦しくて、胸が押し潰されそう・・・・
頭痛い。
喉の奥が痛い。
瞼がジンジン熱い・・・
あたし・・・自分が思ってより・・・・
もっともっと・・・・・・・。
「う・・・っく・・・・・・・うぅ・・・」
慶介に・・・・・・恋してたんだ・・・・・・・・・
失ってみて初めて気持ちの大きさを知るなんて
なんて酷いんだろ・・・・