ハッピー☆ウエディング
あたしは指輪を外した。
もうつけていても仕方ないでしょ?
それに、見てると思い出すの・・・。
慶介の温もり・・・・・
だから、あたしは今朝、指輪を父に渡した。
『これ・・・返しておいて』
『葵・・・お前・・・これでいいのか?』
心配そうな父にあたしは『あはは』と笑って見せた。
別に、好きで結婚を決めた訳じゃない。
ただ、慶介と出会う前に戻っただけ。
そう思う事で、心をなんとか保たせていた。
大丈夫・・・・・
あたしは、大丈夫。
「葵・・・・あんた、ひどい顔・・・」
「・・・・・・まじ?」
目の前に座る美羽が、あたしの顔を覗き込んで容赦なく言った。
クリスマス直前の華やかなショッピングセンター。
その中にある、カフェにあたし達はいる。