ハッピー☆ウエディング
彼の前まで来ると、あたしは慶介を見上げた。
今日は眼鏡とってるんだ・・・・
久しぶりに見る裸眼姿の慶介に、不覚にも胸がときめいてしまう。
―――何でここに?
と困惑している慶介。
そんな慶介に応えるようにあたしは言った。
「・・・瑛太に教えてもらったの。
ここにいるかもって・・・」
「・・・・・」
あたしの言葉に少し考えるように、慶介は一瞬目を泳がせた。
迷惑そうに眉間に皺を寄せる慶介。
あたしは、それだけで心に溜まっていたものが今にも溢れてしまいそうになった。
でも、今はそれをグッと呑み込んだ。
「は・・・話がしたくて・・・・」
「・・・・・」
そう思っても、口から出た言葉はあまりに頼りなくて、震えている事に自分でも驚いた。
あたしは、手に持ったままの小さな透明の袋を握り締めた。
そんなあたしを黙って見つめる慶介。
その瞳はやっぱり何もかも見透かしているようで、それから逃れるようにあたしは俯いた。
がんばれ、あたし。
「・・・・これ・・・慶介が?」
あたしは、左手を差し出した。
その言葉に、慶介も視線をあたしの手元に持っていく。
「・・・・ああ」
短くそう言うと慶介は困ったように眉毛を下げて笑った。
まるで、子供が悪戯をした事がバレてしまった時のように。