ハッピー☆ウエディング



あたしはその袋を広げて中身を出した。


「・・・・どおして?」




それは、宝石を幾つもあしらった少し大人びたヘアピンだった。

あたしが髪を結ぶのが苦手で、何時間もかけていた事を知っていた慶介はコレを選んだんだ。



「本当は、ピアスにしようか迷ったんだけど。こうゆう方が好きかと思って」

「そうじゃなくて!」

「―――・・・・」





『ピアスの方がよかったか?』と笑う慶介に腹が立った。



・・・何で笑ってるの?

あたし、すごく傷ついた。

すごく泣いたんだよ?

なのに・・・・

なのに・・・・・いつもと変わらない慶介。




あたしの強い口調に、慶介も口をつぐんだ。





「あたし達・・・なんの関係もなくなったんだよね?」

「・・・・・」

「婚約・・・白紙なんだよね?」

「・・・・・」

「・・・こんなのってない」

「・・・・・」




もう、何もかも真っ白。

頭に血が昇って自分がなにを言ってるのかも正確にはわからない。



涙と鼻水で顔はくしゃくしゃだし。


――――――・・・・最悪。





なにも言わず、あたしの言葉をただ聞いている慶介。







ねぇ・・・何か言ってよ?






そして、慶介はゆっくりと口を開いた。

















「・・・・・・ごめん」







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