ハッピー☆ウエディング
「・・・葵」
歪んだ視界に慶介が見えた。
慶介は、あたしの前にしゃがみ込むとゆっくりと手を伸ばした。
その手は、まるでスローモーションのように動く。
・・・・・・・・・・
・・・・ないで・・・・
「・・・・触らないで!」
慶介の手があたしの頬に触れる寸前・・・・・
あたしはそう叫んでいた。
「なんでなの?
なんでこんな・・・こんな事になったの?
こんなになるなら・・・・なんで、あたしに・・・・
優しくしたの?・・・キスしたの?
・・・・・・あたしをあんなふうに抱いたのぉ?」
「・・・・・・・」
「・・・どうして・・・あたしの中に慶介を刻み込んだの・・・」
苦しくて苦しくて。
息が出来ない。
慶介の手は、行き場をなくしてそのまま固まっている。
あたしの嗚咽を聞きながら、何も言わない慶介。
それが、答えだと思った。