ハッピー☆ウエディング
ちゃんとお父さんに大事な書類を渡せた喜びと、緊張から解放された事であたしは有頂天になっていた。
そして『待っていて』と言われた事も聞かず、あたしはお父さんの部署を見てまわっていた。
『机ばっかり~全部にパソコンが付いてるんだぁ~。あたしもいつかOLさんなんてやってみたいなぁ』
キョロキョロしていたあたしは、前から誰か歩いて来ていることにまったく気が付かなかった。
『わッ』
ガシャーン!!!
大きな音と共に床にはガラスの破片が散らばった。
その衝撃であたしの小さな体は勢い良くよろめいたけど、それは誰かの手によってなんとか持ちこたえていた。
『大丈夫?』
恐る恐る声のした方へ顔を上げると、そこにはお父さんよりも背の高い男の人があたしの顔を覗き込んでいた。
まだ若そうなその人の服は、今ぶつかった事でこぼれてしまった飲み物でびしょびしょに濡れてしまっていた。
それでもあたしの方を心配するその男の人からあたしは目が離せなくなってしまった。