ハッピー☆ウエディング
懐かしい慶介の腕の中。
まるで夢を見ているよう・・・。
一瞬にして、あたしの視界はぼやけてしまった。
あたしを包み込む慶介の大きな腕。
キュっとその腕に力がこもる。
そして、慶介は小さく息をつくとこう言った。
「・・・もう無理かと思った」
「・・・・え?」
「たくさん傷つけて・・・たくさん泣かせた」
そう言った慶介はさらに腕に力を込めた。
そんな・・・
ちゃんと慶介と向き合わなかったあたしだって悪いのに・・・・
慶介は「ごめん」と何度もあたしの耳元で囁いた。
あたしはそれにただ黙って首を横に振ることしか出来ない。
今、声を出してしまったら・・・・・
もう喉まで出かかっている感情を抑える事が出来ないから。
そして、慶介はそっとあたしの体を離すとポケットからなにか取り出した。