ハッピー☆ウエディング
中身を見て言葉をなくしてるあたしの手に慶介はそっと触れた。
「・・・・・・」
「・・・ここで、もう一度葵に会えたら・・・言おうと思ってた」
そう言って、慶介は愛おしそうに目を細めると、あたしの左の薬指にダイヤの指輪をはめた。
政略結婚なんてありえないって思いながら、だんだん慶介に惹かれていった・・・。
まるであたり前のように、あたしの心を奪ってしまう慶介・・・・。
いつからか、ずっと肌身離さず身に付けていた
エンゲージリング。
でも、そんな大事な指輪も慶介との婚約破棄が決まった翌日、お父さんに返したんだ。
見るのも辛くて、苦しくて、慶介から逃げた証・・・・。
あたしは、左の薬指を見つめたまま、息をするのも忘れてしまっていた。