ハッピー☆ウエディング
脳の奥を刺激する甘い香りと、ほんの少しほろ苦い香りがあたしを包んだ。
後ろから抱えられるように、すっぽりと慶介の腕の中におさまってしまったあたしは、なるべく怒った表情をして慶介を見上げた。
慶介は、片目を少し開けるとあたしを見た。
「・・・大丈夫だって・・・あと1時間は余裕あるよ」
「でも・・・慶介・・・今日は絵梨ちゃんと瑛太の・・・」
そう言いかけたあたしの唇は慶介によって塞がれてしまった。
「ちょッ・・・」
少し体をよじって抵抗してみる。
でも、それが本心からじゃないのは慶介にはお見通しで・・・
ほんの少し顔を離すと、熱っぽい瞳であたしを覗き込んだ。
「・・・まだいいよ」
「・・・・・ん・・・」
甘く・・・甘くキスをする慶介。
あたしにとって、慶介のその目は魔法。
ま・・・いっか。
そんなふうに思えて、慶介のキスに身を任せていく。
慶介は時々こうしてあたしを求めてくれる。
愛おしそうに目を細めて・・・
大事にあたしに触れてくれる。
もう・・・どうにかなっちゃうよ・・・・・
「・・・・・・慶介・・・」
甘い溜息と共にそう囁いた瞬間―――