ハッピー☆ウエディング
「葵、あんた最近、一ノ瀬さんとはどうなの?」
「・・・え?」
突然なに!?
あたしは思わず掴んでいた唐揚げを落としそうになってしまった。
“一ノ瀬”
この言葉を耳にしただけで、あたしの胸は高鳴った。
それと同時に、ギューって締め付けられる。
イタタ……
「どぉって…なに」
唐揚げを口に放り込みながらあたしはあえて冷たく言う。
この気持ちがなんだかわからなくて、自分自身に苛立ちすら感じる。
「なにって、あんた達うまくいってるんでしょ?」
母親は、あたしの顔からなにか読み取ろうとしているようで、必要以上に見つめてくる。
「べっつに~」
あたしはゴックンと唐揚げを飲み込んだ。
今はそんな事、聞かないでほしい。
「あ~、もしかしてねぇちゃん捨てられたろぉ?あんまり色気ねぇから」
亮がニヤニヤしながらあたしの顔を覗いた。
「うっさいな」
ボカッ
「いてぇな…図星かよ!?」
亮は殴られた頭をさすりながら恨めしそうにあたしを睨んだ。
このバカ弟めっ
少しは空気読めっ!!!
「あら、喧嘩でもしたの?どうせ、あんたがワガママ言ったんでしょ」
母親は、しょうがないわねと言うふうに笑った。
いや、笑うとこじゃないっしょ?
娘が悩んでんだよ?
あたしは、まったりとごはんを口に運ぶ母親を軽く睨んだ。
「ただいまあ」