ハッピー☆ウエディング
夏休みなのに、不思議な事にお風呂に入っているのはあたしとお母さん、それに中年の少し太った女の人だけだった。
らっきぃ♪
まるで貸切風呂のようで得した気分。
内風呂と露天があり、その両方は効能が違うみたい。
露天風呂は、乳白色で少し滑り気がある。
露天風呂の湯船から見える景色はとても綺麗でまるで日本画の中に迷い込んでしまったようだった。
贅沢に温泉を満喫したあたし達は、フロントの隣にある売店を物色中。
店内は狭いスペースを余すとこなく、所狭しと饅頭や郷土品が並べてある。
「美羽にお土産でも買ってこうかな」
あたしはフワフワした感触のキーホルダーを手にとった。
「あんたね、それ、美羽ちゃん困るわよ」
母は呆れた顔であたしを見た。
「ちょっと触っただけじゃんっ」
あたしは慌ててそれを元に戻しす。
「…やっぱりこれにしよ」
あたしは美羽の好きそうな小さな焼き菓子を手にした。
母を見ると、まだいろんな物を手にして品定をしているようだ。
あたしは先に買ってしまおうと、レジに向かった。
……あれ?
振り返ったあたしは、その場から身動きがとれなくなってしまった。
う、うそ・・・
だって…だってそこにいるのは……
あたしは、目の前を歩く人物に釘付けになった。
一ノ瀬 慶介!!!