ハッピー☆ウエディング


すぐ近くで、お酒の匂いが鼻をつく。
あたしはその匂いにむせ返りそうになって、振り返った。




「葵ちゃあん、どこに行くの?」




あたしの肩をしっかりと抱いたその人物にあたしは見覚えがない。




あたしは、そのまま固まって動けなくなってしまった。
身体がガタガタと震えだす。





首筋に息がかかりそうなほど近くにいる男の顔はもう首まで真っ赤になっている。
荒い息からお酒と煙草の匂いがプンプンと漂ってきた。
結構なお酒の量を飲んだに違いない。
年は慶介より若いだろう。




「あの、離して下さい」




あたしは身をよじってその腕から逃れようとした。




「葵ちゃんってさ、かわいーよね・・・オレ、食べたくなっちった・・・・・」




男はさらに顔をよせ、空いている手はあたしの太腿へと伸びた。
それと同時に身体がビクンと跳ねる。






怖い・・・・






震えて固まってしまったあたしの顔をその男は覗き込む。
一瞬男の充血した目と視線が絡まって男はニヤリと笑った。



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