ハッピー☆ウエディング
その言葉をじっと聞いていた慶介はあたしの手をそっと握った。
「なんだ、てっきり嫌われてると思ってた」
優しく囁くように言う慶介の言葉にあたしの瞳からは涙がとうとう零れてしまった。
「葵」
あたしはそのまま、引き寄せられて慶介の腕の中に居た。
「不安にさせて悪かった」
そう言った慶介の腕に力が入った。
「・・・・・ふぇ」
あたしは安心して、今まで張り詰めていたものが一気に解れていくように慶介の腕の中で声をあげて泣いてしまった。
慶介の胸が温かくて、無性に泣きたくなったんだ。
慶介は小さな子供のように泣きじゃくるあたしの背中をただ黙ってポンポンと撫でてくれた。
「泣き虫だな・・・」
頭の上で、慶介の声がする。
呆れたように言った慶介の瞳はすごく優しくて・・・
冷たかった月明かりは
暗闇でしっかりと抱き締めてくれている慶介のように
とても暖かく感じた―――