ハッピー☆ウエディング
真夜中の旅館の廊下には、月の光が明るく照らしていた。
静かな廊下をあたしの足音だけが響く。
―――――綺麗――――
あたしは自然と溜息が漏れた。
慶介は何してるんだろ・・・
あたしは、満月を見上げながら慶介の温もりを思い出していた。
脱衣所の引き戸をゆっくりと開けて、【ゆ】と書かれたのれんをくぐる。
もう、深夜を回っているから誰もいないや・・・。
しんと静まり返った室内であたしは浴衣を脱いで、タオルを手に取り浴室へ向かった。
「やっぱり、誰もいない・・・か」
あたしの独り言はよく響いて聞こえた。
簡単に身体を洗うと、露天風呂へ足を突っ込んだ。
湯気がたちこめていて、先があまり見えない。
あたしは、手探りで岩風呂の中心まで行くと大きな岩の近くでゆっくりとお湯に浸かった。
「ふぅ~」
自然と溜息が漏れる。
んん~、やっぱり気持ちいい♪
あたしは広い広いお風呂の中で足を伸ばし夜空を見上げた。
湯気の隙間から見える夜空には
所狭しと輝く満天の星達・・・
その真ん中に月がぽっかり浮かんでいる。
都会からは見られない情景が目の前に広がっていた。