ハッピー☆ウエディング
「葵」
遠くで慶介の声が聞こえる。
「葵……」
あたしを呼ぶ優しい声。
誰…?
……………慶介?
朦朧とする意識の中、あたしは重たい目を無理矢理あけた。
あたしの顔を心配そうに覗き込んでいる人……
「大丈夫?」
それは、慶介じゃなくて雪絵さんだった。
濡れた長い髪を1つに束ねている姿が色っぽく見える。
「葵ちゃん、気分は?」
雪絵さんのその言葉に我にかえる。
「あれ?…あたし」
あたしは体をゆっくり起こした。
そんなあたしの体をすかさず押し戻す。
「駄目よ。まだ寝てなきゃ」