LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
アイツ、泉陽向が2度目に柊のアパートを訪ねて来た時、
牽制し合うアイツと僕を残して
『悪いけど私はもう眠らせてもらうから。
くたくたなのよ。誰かのせいで』……
一人部屋にこもって眠ってしまうという荒技をやってのけた。
独り言のようにアイツは俺に事情なんか話すものだから
仏ごころが出てしまったのかもしれない。
『柊を幸せにしてやってくれ』
そう残して、去って行った。
さみしそうな後ろ姿に同情したのも事実だった。
でも、今考えれば、よっぽどのお人よしだ。
あいつが去って数時間してから、
柊は目を覚ました。
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「そういえば、陽向は?」
「何かよく眠れたって言って、さっき帰って行きました。
なんか、明日からベトナムに行くからとか言ってたけど。
何もんなんですか?元カレさんって。」
「何者なのかなあ?
あるときは宅配のお兄さんだったり、
バーテンダーだったり?
海外にもよく行くのよね。
カメラとかやってるみたい。」
「みたいって?元彼だったんでしょ?」
「うん。多分ね。
ああやってふらりと来て、
またどっかに行っちゃうの。
だから、付き合ってるっていっても、
ほんとは違うんじゃないかと思うくらい。
でもね、
会っちゃうと、不満とか飛ぶくらい優しくて、
満たしてくれたんだけどね……」