LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
彗はしばらく黙って、

そして口を開いた。

「違うと思う。」

「え?」

「あの人が、柊に家のこと言わなかったのは、そういうことじゃないと思うよ。

 でも、悔しいから言わない。

 僕は男だから、

 なんとなくどうして言わなかったか、

 分かっちゃってるけど、

 でも、

 言いたくない。」


頬を膨らませて俯向きがちにしゃべる彼の

色素の薄い髪を、

くしゃくしゃっとして

「ばあか!」

と私は笑った。


「ひでぇ。」

と言ったあと、

「わははっ」

と声をあげて笑った。

二人で何かのスイッチが切れたように

笑い転げながら抱き合ってキスをした。



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