LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
昨日の彗は、やっぱりちょっとおかしかった。

原因は判ってる。

私が受け取ってきてしまったあの高額な小切手とメモのせい。


『柊が気にしなくっていいから』


そう笑って言ってたけど、

いいわけがない。


私は、彗のお父さん『神宮零斗』に会って舞い上がって、

調子に乗って勝手に預かって来たのだから。


いいわけがないのよ。


家族の話だって、最近ようやく話してくれたのに、

良く訳も知らないで、土足で踏み込んでしまったのだと、

冷静になって考えればわかる事なのに。


馬鹿なんだ私は。


鏡の向こうの私は、

化粧が済んでも、すっきりしない顔

ふ~っと、息を吐き

髪をくるくるっと結上げて、

バレッタで止めた。


パンっと気合を入れ、立ちあがった。


とにかく、仕事に行かなきゃ。

スマフォをポンッとバックに入れジャケットを手に持った。


後でちゃんと話をしよう。


彗が残る部屋。


ちょっと振り返って、後ろ髪を引かれながら会社に向かった。






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