LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
おかしくてしょうがないような顔で、

声をあげて笑う、母は、

なんだろう、

まるで、違う世界の人みたいだった。

この人は、どうしてこんなに、

平気なんだろう。

目の前に、

ずっと会っていなかった息子がいるのに、

親父に対しても

今までずっと一緒にいた友達みたいな?


「あらでも、

どうしても愛してるから生んでくれって言ったのは、

 レイだったでしょ」

「う、うるさいっ

 産んだらお前がもう少し落ち着いてくれると思ったからだ。

 なのに、産んですぐ姿を消して、いなくなるなんて思わなかったんだ」

「あら、でも結婚してくれなんて言われなかったし、

 何より私が母親ができるなんて思ってなかったんでしょ?

 でも、まあ、母さんが亡くなった後、

 こんなりっぱにそだててくれたのは感謝してる。」


「お。俺が育てたんじゃないっ」

それにしても親父をこんな風に手玉に取る女っていったい……

これが俺の母親?


「うるさい!」


親父がこんな風に、言い負かされるところなんて初めて見た。

唖然としていると、

その様子を笑顔で眺めている小柄な女性に

母親はにっこりと笑って話しかけた。


「あなたも大変ね、こんなツンデレ男で。」

「はあ、でも愛してますから。」


「まっ、よかったわねレイ愛されて!」


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