LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして

でも何より感動的だったのは、

翌日に行われた、

小さなチャペルで行われた親族だけの厳かな結婚式。


ここでも私は泣きっぱなしで、

彗が、

『これ以上泣くと、

 別人みたいになる。』

なんて意地悪く言うけど、

そんなことじゃ

私の感動の涙は止まらなかった。

傍で、化粧を直してくれたのは彗のお母さん。

きれいで優しい人。

ただ言葉の端はしに自由奔放さが見え隠れして、

さすがあの神宮零斗と渡り合えた人なんだと納得してしまう。


結婚式で交わされたマリッジリングは、

彗のお母さんがデザインしてくれた世界でたった一つのもの。

『彗をよろしくね』

掛けてくれた声には、確かに愛情が感じられた。

彗がこの年になるまで会うことをしなかったお母さん。

何度も会いたい、抱きしめたいと思ったことだろう。

この人も、不器用なんだと思う。

『ありがとう、母さん』

そう言った彗の声にわだかまりは感じられなかった。

時間はかかったけど、

これからは親子としての関係を作っていけるかもしれない。




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