LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「でもね、彗、私はあなたが思うほど結婚とかに向く女じゃないかもしれないのよ。」


「してみなきゃわからないでしょ?

 それとも、年下の俺と一緒なのは不安なの。」


「そんな……っ、


 ん……そうかもしれない。」


あたしの言葉に一瞬大きく見開いた目を伏せた。


「そうなんだね。」


カチャリとフォークを置くと、

お財布を出してテーブルに千円札を数枚おいた。


「今日は、部屋に戻る。

 なんか、ちょっと舞い上がりすぎたみたい。

 馬鹿だな、僕は、友達に会わせてもらったり、

 子供の話しても、笑っててくれたから、

 少しは恋人から一歩踏み込めた気がしてた…

 この間までセフレ扱いともすればペット扱いだったんだもんね。

 いい気になってた

 頭、冷やす。」

席を立った、彗に慌てて声をかける

何か言わなくちゃ、

「彗!」

「何?」

「まだ、デザートがくるのよ、コーヒーも。」

「あげるよ。無理なら残して。」

さっきまで嬉しそうに笑っていた彗の顔に

表情が消えていた。

また傷つけてしまった。

私は何度この子を傷つけたら気が済むんだろう。


「彗ごめん」

彗はふっと筋肉を緩めて、私から視線をそらした。

こんな時でも笑顔を作ろうとしてくれる彼に、

大好きなのに

私はどうして素直に飛び込めないんだろう。

 

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