LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
ぼーっとする私に、

「柊だめ、我慢できない。」

彗は私を抱き上げ、

会場を後にする。

刺さるような視線も、

どよめきも、

すべてが私たちを羨んでいるみたいな気がする。

もう、

なんて、

なんて、

ドラマチックなの!


彗の首に腕を回してギュッとすがりついた。

ふふっと笑った彗の体の振動が

私の体をもっと熱くさせた。

さっきまで、頭の中を流れた陽向との思い出は、

すっかりかき消されて、これから繰り広げられるであろうことに、

思いを巡らせドキドキして興奮している自分。

こんないやらしくて

いやらしすぎてありえない。

彗はそっと私を降ろすと、

「ごめんカードキー出さなくちゃ。」

とポケットを探る。

顔を赤くしながら、

「ドラマみたいには行かないや。」

とブツブツとつぶやく。


十分ドラマチックだよ。

そう言ってあげたかったけど、

可愛くて、つい笑ってしまった。


「ああ、もう。笑うなんてひどい」

ちょっと頬をふくらませながらなかなか見つからないカードキーを

ようやく見つけて差し込んだ。



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