LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「このホテル内にいるなら心配いらないけど、

 外へ連れ出されたとかなると厄介だな。」


「あの、誘拐みたいに聞こえるんだけど?」

「言いにくいけど、

 あの部屋、本当は俺たちが泊まるはずだったんだけど、

 あいつが、あ、俺の婚約者ね。

 急にキャンセルしたいって言い出して、

 君たちに譲ったわけ。

 だから、もし、誘拐されてりとかしたなら、

 俺の婚約者と誤解されてるかもしれないんだよね。」


「は?ちょっと、次元が違ってて意味不明なんだけど?」

「俺の婚約者は、大病院の娘でね、

 近いうちに、あるホテルを家族滞在型のホスピスにする計画があるんだ。

 そのための縁組なんだよね。

 だから、反対派とか、いろいろ物騒なこともあって、

 まあ、そういうのを見越しての公然な婚約パーティで、

 ここまで公になれば、反対派も裏工作できないだろうと。

 多寡をくくってたんだけど……」


「それに柊が巻き込まれてってこと?」


「いや、だとしたらまずいなって……」


「け、警察にっ!」


慌てて、携帯をかけようとした俺の手を、

泉はぐっと掴んで止める。


「悪いが、それは困る。

 このホテルの中で誘拐とか、

 そういうのは大事にされたくないから。」


「柊は!」

「安心してよ。俺が責任をもって助けるから。」







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