アニメオタクですいません。
これから私はこの建物にお世話になるんだ…挨拶しといた方がいいよね。
私は旧校舎の壁に寄り添い、目を閉じた。
壁はザラザラで地面には少し緑のコケが生えている。
「が、我慢するのよ莉乃!壁だって生きてるんだから!ザラザラが痛くても!」
「…やめた方がいいと思うけど」
「止めないで神沢くん!」
「…いやその…他の人が来たらこの状況、どう説明すればいいかわからないから」
神沢くんを見ると明らかに呆れ顔だ、笑いを通り越して呆れている。
「…ごめん、実はアニメの見過ぎでさ」
「少しアニメやめたほうがいいんじゃない」
即答だった。
心からそう思っているのか、神沢くんの目は真剣そのもの。
…まずい、これでは私が可笑しな人だと思われてしまう。
「わかった…!」
私は仕方なく壁から離れる。
…が、その瞬間に身体がふらついた。
「…おわっ!?」
_____グンッ!
足が何かに引っ張られた。このままじゃ…いや、もう転ぶ!!
「西田さん!?」
神沢くんの声と共に、私は目を閉じた。
「…あっぶないなぁ」
…あれ?
男の人の声が聞こえる、そして何故か暖かい。
まるで、誰かの体温のような…
私は恐る恐る目を開けた。