鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
谷口達が思い思いに休暇を満喫する為に隊舎に戻った後。

「気に病む事じゃねぇ」

咥え煙草の小暮が、小川の肩を叩いた。

「毎日鬼のような面して怒鳴り散らして、悪役買って出て、任務じゃてめぇの命すら弾の前に晒して隊員に指示出して…別にお前の本意じゃねぇだろ?それが分隊長の仕事だ。あのガキどもが憎くてやってる事じゃねぇ」

「……」

小川から見れば谷口達が後輩であるように、小暮から見れば小川が後輩だ。

しかも同じ分隊長として部隊を率い、多くの部下を死なせてしまった経験もある。

「お前はよくやった、立派だよ、立派…ここらでそろそろ、自分の休息の事も考えてみちゃどうだ?」

そう言って煙草を勧める小暮。

「自分は喫煙はしませんので」

やんわりと断る小川に。

「ケッ…お前もかよ…喫煙者は肩身の狭ぇこって…」

小暮は肩を竦めて見せた。

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