鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
撃てども撃てどもキリがない。

無数に湧いてくるかのようなカマドウマの群れに、小川は悪戯に弾薬ばかりを消費する。

何という獰猛さと貪欲さか。

まるで諦める事を知らず、仲間の死を目の当たりにしても些かも怯まない。

彼らには恐怖というものはないのか。

いや、感情さえも感じさせない。

ただ食欲のみで行動しているかのような。

その生命としては有り得ない行動原理に、小川の方が恐怖を感じる。

死を恐れない生物なんて。

まるで兵器ではないか!

ひたすらにトリガーを引き続ける小川の手に。

「!?」

弾切れの感触が伝わる。

また弾倉が空になった。

残る弾倉は後一つだけ。

だが目の前にはまだ数十匹ものカマドウマが犇いている。

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