鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
ホームに来るまでに、別段変わった様子は見られなかった。

構内の階段や歩道の損傷具合は酷いものの、擬態型と遭遇する事もなかった。

「どうしますか、小川分隊長」

谷口が振り向いて指示を仰ぐ。

「……更に進もう。クリアリングを怠るなよ」

小川の言葉で、隊員達はホームから線路上に下りる。

歩き易かった構内から、今度は本来歩く事を目的としていない線路上だ。

レールや枕木、バラスト(砕石や砂利)などで足をとられ易く、転倒や足の負傷の原因となる。

擬態型のアジトと目されるこの地下鉄での負傷は、些細なものでも後々命取りになりかねない。

進軍するのにも細心の注意が必要だった。

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