鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
線路上は更に闇が濃いように思われた。

豊田の持つフラッシュライトでは心許ないほどに視界の悪い闇。

「いきなり飛び掛かって来られたら対処できねぇかもな」

後方警戒しながら小暮が言う。

「こ、怖い事言わないで下さいよ…」

怯える麗華。

「あまり無駄口を叩くな。話し声で位置を悟られるぞ」

小川が二人を窘める。

と…。

「……?」

小川分隊の隊員全員が、すぐに『それ』に気付いた。

「何だ、この音…」

「それに震動が凄いな…」

警戒する谷口と豊田。

後続の小川達も、手にした銃火器を構える。

その目の前に。

「!?」

ドリル状の掘削機械を取り付けた、キャタピラで動く戦車のような車両が、地下鉄構内の壁を突き破って出てきた!

< 306 / 650 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop