鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
『谷口 誠一等陸士の拘束及び引き渡し』

それが司令部からの通達だった。

驚きを隠せないのは小川だ。

どういう経緯でそんな決断を司令部は下したのか。

司令部としての見解はこうだ。

あのカマドウマは他国からの生物兵器であり、日本大災厄の混乱に乗じての国土上陸を企てる他国軍、或いはテロリストの放ったものではないかと。

そして小川の報告にあった『谷口の援護を受けて事無きを得た』という点にも司令部は着目していた。

降雨の中、相当な距離があったにもかかわらず宿営地で銃声を聞き、小川の救出に駆けつけたという谷口。

これは『銃声が聞こえた』のではなく『あの時間帯に海岸にカマドウマがいるのを知っていたのではないか』というのだ。

谷口は小川を救出しに来たのではなく、生物兵器の能力を評価確認する為に現場に立ち会っただけなのではないか。

そう司令部は言うのだ。

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