鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
いつものように飄々と煙草を吹かしながら、小暮は続ける。

「どんなに訓練を重ねたとしても、殆どの戦術自衛隊員が『実戦』の経験はねぇんだ…ましてやディアボのような生物兵器との交戦経験なんてな…仲間を喪ったのは不幸な事だが、お前が悪い訳じゃねぇ」

「…ええ…ですが…」

隊員は呟く。

「俺一人がおめおめと宿営地まで戻ってきてしまって…せめて仲間達の遺体を連れ帰りたかった…きちんと弔ってやりたかったです…」

同じ部隊、同じ駐屯地で暮らしていると、隊員同士は家族にも似た感情を持つようになる。

平和な場所で暮らしている一般人には分かり難い事かもしれないが、彼らは仲間の為なら一度拾った命を捨てる事になっても、再び戦場へと舞い戻るほどの固い絆で結ばれているのだ。

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