鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
そんな状況を作り出したのは、全て紛争のせい。

ジャンジャウィードのような武装組織による虐殺のせいなのだ。

「それでも、難民キャンプとはいえ親元で暮らせる子供はまだいい…」

三浦の歯噛みする音が聞こえてくるようだった。

「1989年から1996年にかけて起きたリベリアの第一次内戦…リベリア国軍と衝突した武装組織『リベリア国民愛国戦線』は、6、7歳児の少年兵部隊を前線に送り出していた」

「そ、そんな子供を?」

麗華が驚いたように声を上げる。

少年兵は開発途上国の武力紛争で見られ、実際の戦闘から誘拐、スパイ活動、物資の運搬など幅広い活動に従事している。

中には地雷避けにと、真っ先に地雷原に突入を強要されるケースも報告されている。

少女の場合は、兵士に妻として与えられ、性的虐待に遭ったり、身の回りの世話などをさせられたりする事が多い。

恐怖から逃れる為、薬物を投与される事も多い。

特に武器として与えられる小銃の弾丸に使われている火薬には、燃焼力強化の為にトルエンが含まれているが、少年兵の恐怖心を失くしたり、或いは依存症を引き起こさせて脱走を防ぐといった目的から、このトルエンを含む火薬を服用させて、中毒症状に陥らせるケースも報告されている。

アフリカ諸国の反政府組織の例では、村々を襲って教育も儘ならない幼い少年少女を拉致し、洗脳教育的な軍事教練を施し兵員とする。

少年兵は使う者にとっては従順な存在であり、特にシエラレオネ革命統一戦線の例では、薬物で洗脳し、村人の腕や足を切らせるなどしていた事から世界で批判が湧き起こっている。

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