鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
押し黙る麗華。

もしかしたら、その頃に人を撃った事もあるのだろうか。

…人殺しも、したのだろうか。

訊けない。

とてもそんな恐ろしい事は質問できない。

「最も危険な前線に駆り出され、前方には敵の銃口、後ろには脱走を阻む自陣営の大人の兵士の銃口があり、生き残る為に前進のみを強制された…俺にとって戦闘は生きる為の手段であり、子供の頃からそれが日常だった俺には、戦闘しかなかった…」

小さく呟く三浦。

そんな幼少時代を過ごすきっかけとなった武装組織の記憶を、ジャンジャウィードと重ね合わせて憎悪する三浦の気持ちもわからなくもない。

いや、本当に分かっているかどうかは怪しいものだ。

幼少時代を平和に両親と共に過ごした麗華に、本当に理解できているのかどうか…。

< 458 / 650 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop