鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
「兵器設計局が新しく開発した試作型対戦車狙撃銃だそうだ」

小暮が言う。

「対戦車狙撃銃…?」

谷口や三浦が首を傾げる。

確かに、対戦車ライフルと呼ばれる狙撃銃は歴史上存在した。

初期の戦車や装甲車程度の装甲板であれば対戦車ライフルの銃弾は貫通できた。

しかし人が肩で受けられる反動には限界がある為、貫通能力の向上には限界があった。

戦車の装甲がどんどん増加するとついていけなくなり、陳腐化した。

どうしても戦わないといけない場合は覗き窓などの弱点を狙ったり、履帯を狙って走行を妨害する戦術を用いた。

その後、成型炸薬弾を発射する個人携帯式対戦車兵器が登場すると完全に対戦車兵器としての地位を明け渡した。

対戦車ライフルは重い弾丸の持つ優れた弾道直進性を生かして、対人狙撃に用いられたり、軽車両などを狙うようになる。

第二次世界大戦後、しばらくは軍から姿を消すが、フォークランド紛争を機に対物狙撃銃として復活した。

つまり『対戦車狙撃銃』という兵器は現在では存在しないのだ。

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