鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
しかし、言ったそばから。

「……」

谷口は作業の手を止めて動かない。

ある方向を凝視したまま、かたまっている。

「ほら谷口君、作業再開しようって言ったのは貴方でしょ?」

冗談ぽく谷口の背中を叩く豊田。

それでも。

「……」

谷口は動かない。

山の中、鬱蒼と茂る樹木、背の低い茂み。

そんな中を、目を凝らすように睨み付けている。

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