鉄の救世主Ⅱ(くろがねのメシアⅡ)
同時に茂みのあちこちから、ガサガサと葉の擦れ合う音がする。

茂みの奥、潜んでいる何者かが蠢く音。

「しくじったか…っ!」

素早く多用途銃剣を鞘に納め、89式小銃に持ち替える谷口。

「豊田、すぐに小川分隊長に知らせろ!」

「はいっ!」

谷口の指示を受けて、豊田は足元の悪い山道を下っていく。

小川も麗華も、そう遠くには行っていない筈だ。

すぐに来てくれる筈。

それまで…。

「っっっ…」

谷口は奥歯を噛み締める。

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