“ヒカリへの道”
小野光…
笑顔が眩しくて、今まで死にたいとか思ったことなかったんだろうなって思った。
ずるい
なんで私はこんな苦しい思いして生きてるの?
光はどうせ幸せな家庭で大事に育てられたんだ。
ずるい、ずるい…
窓の外に広がる社会という、大きな存在。
それを見ていると自分がどんだけ小さな存在なのか気づく。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
どこか遠くでチャイムを聴き
号令にあわせて形だけの挨拶をした。
担任が出ていくと、待ってましたというかのように
「凜、お前ずっと窓の外見てただろ?」
ククッて喉をならしながら話しかけてくる光に
「話聞いても面白くないから」
やっぱり愛想の悪い返事を返した。
自分のなかで、光という存在が、苦手だってことに気づいていた。