“ヒカリへの道”
「ただいま」
玄関のドアをそーと開ける。
「あ、帰ってきたんだ」
中から帰ってくるのは“おかえり”なんて優しい言葉ではない。
「うん」
今日は少し機嫌がいいのか、なにもしてこない母親。
それに油断した…
「で、いつ出ていくの?」
は?
学校は明日
これから出掛ける予定なんてない。
聞き違いだろうと思い、聞こえないふりをして、部屋へ向かった。
バタンッ
リビングの扉が開く音を背中で聴きながら。
ハァー
部屋に戻るなり、ベットにダイブする。
光と話して楽しいって思ってた気持ちが、一気にどん底まで落とされた。
こっちがわたし
私はヒカリの元になんていけないんだ…
カゲから出ることは出来ないんだ…
そう思うと心が痛くなって、そのまま目を閉じた・・・