My sweet heart
タイトル未編集
春。二年生になった私、雨川さくらは今、入る委員会を選んでいる。


(…どうしようかな、やっぱり放送委員は人気あるよね……。えーと…。)


名札を貼ろうとすると、私の他にもう一人、名札を貼ろうとする右手が見えた。


「明里!」

私は思わず、その名前を口に出した。

それが、親友の明里(あかり)だったから。


「さくら!やった!委員会一緒!わーい!」


「明里、まだ決まった訳じゃないから!」


「でもでも、定員が2人だからほぼ確定ー……って…、男子一人いるね…。」


ほんの数秒前まではあんなにはしゃいでいた明里なのに、私と2人じゃ無いと分かった途端しょんぼりしてしまった。


「私も明里と2人で委員したかったけど、しょうがないよ。男女1人ずつだもん。」


「そっかぁ…。」


…確か去年は、明里が委員会譲ってくれたんだよね。


今年はお礼として、譲ろうかな。


…それに、この男子が一緒なら、明里喜ぶよね。



「いいよ、明里がやって。去年譲ってくれたし。それにほら!男子は優希くんだよ⁉アプローチするチャンス‼」


優希(ゆうき)くんとは、今の明里の想い人。


「え…それは有難いけど…でもさくら、いいの?」


「うん!」


「ありがと、さくら。頑張るね!」


明里の恋路をすすめ、また委員会一覧をみると、余っているのは図書委員だけ。


仕方なく、そこに名札を貼る。


もう1人の委員は、クラスのムードメーカー、岡坂 雄大(おかさか ゆうだい)くんだった。


そして挨拶をしようと岡坂くんの席まで行った。


「岡坂くん、私も図書委員になったの。これからよろしくね。」


「お、女子の委員は雨川か。よろしくな。」


そう言って笑ってくれる笑顔を見て、この笑顔が、クラスのムードを明るくしてるんだろうな、と感じた。




放課後。


委員を早速集めるらしく、岡坂くんと図書室に向かう。


岡坂くんが、図書室までの廊下で口を開く。


「学年が真ん中だとさ〜…」


「うん?」


「後輩も先輩もいて、いいよな。」



「あはは、そうだね。」


気まずくならないように気を使ってくれているのか、会話は他愛もなかった。


岡坂くんは、基本気が緩むようなことばかり考えている。



そのせいか、大柄な割に話しやすい。





図書室の扉を開くと、新委員が集まりガヤガヤと騒がしくなっていた。


「おー、雄大じゃん!委員一緒だな!」


「なんかクラス変わってあんまみなかったな〜、久しぶりだな。」


「おー」


岡坂くんは他のクラスに友達がたくさんいるらしい。


「はーい、では新委員みんな集まったかな〜?」


やたらハイテンションな女子委員が呼びかけると、バラバラとみんなが席につき始めた。


「では、まず自己紹介から行きたいと思います!三年生から順にで!まず私は図書委員長三年、村神 恵(むらかみ めぐみ)です!みんなよろしくー♪」


委員長のキャラからか、どっと笑いが漏れる。


「はい!では、三年生川先 涼子(かわさき りょうこ)さんからお願いしまーす!」


「はい。私は、図書委員は去年もやっていて…」


優しそうな先輩たち。


でも、その中で明らかに冷たそうな先輩がいた。頬杖をついて黒板をじっと見つめている。


きちんと着られたニットからは、いかにも生真面目そうな様子がわかる。


何故かわからないけど、気になった。
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