ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
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卒業式……。
最後のHRで、矢代先生は生徒一人ひとりへのメッセージを…用意していた。
名前を呼ばれた人は、何を言われるかと身構えるけれど……
「稲守……!!!お前のノリの良さは天性だな。だけど、底無しのボケはなんとかしろよ、獲物が…逃げる。」
「……。………?………ううっ…しぇんしぇい……。」
的を得ているのか、褒めているのか、結局は何だかよくわからない言葉が。
最も先生らしくて……
馬鹿みたいに泣けてきた。
「早瀬……!」
「………。はい。」
「…………。勝負時は今じゃないこともある。気を張ると肩凝る!お前らしく、テキトーに笑って過ごせ!」
「………?……はい。」
早瀬は……、
泣かなかった。
でも、目には涙が滲んでいた。
いつもは上がる口の端っこを…。
思い切り下げて。
『笑ってろ』は、『泣くな』の裏返し。
最後の…御達示。
彼は必死にそれを…守ろうとしたのだろうか。
「矢代先生!」
今度は早瀬が…
先生の名前を呼んだ。
「………?なんだ?」
「俺らからのメッセージは……、ありません!」
「なんだそりゃ?!」
「でも……、『どこか』にあると思います。ってか…、あります。」
「………?」
「多分、俺らのことだから、気持ちにまとまりつかないとおもうので……。全員のメッセージの根底にあるものを、ひとまとめして今のうちに言っときます。一応…、覚えてて下さい。」
「………。どうせアレだろ?『ありがとう』か?わかってるって。」
「………。『おとといきやがれ』!………以上です。」
「はああ~??!」
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