ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。





「……驚かせたかった。あと、どんな反応されんのかが…怖かった。」





「………。写真……、あれは…どうして?」










「………。多分…、好きだったから。衝動的に…あげたくなくなってさ。隠す前に…、すり替えた。」




「多分って……。」







「離れるってわかってて、どうしても…言えなかった。だから、ギリギリの所で…気のせいだって思おうとしたのかもな。」




「…………。」




「10年も経って、今…、再会して…。やっぱりって思った。」





「…………。」





「俺、紗羽ちゃんのこと……」





「…………。…宴も酣ですが……。まず、まあ……、呑め!」





「………は………?」




「あのねえ、折角の同窓会に遅れて、もう終わりって時に来て。ホント…何しに来たの?」





「……………。」





今更………、



何?



これは、現実……?




「利央、さっきの日本酒!早瀬にも飲ませよう!」



「ええ?折角いいムードになって……」



「………。突然、目の前に来られたから……流石に参った。呑まなきゃやってらんないよ。」




「………。さりげに酷くない?」


「早瀬に同情します。」



恒生さんが…合掌する。






「……10年前に、アホ呼ばわりして言い逃げした…罰だよ。」




「………?……あ。」




早瀬は首を傾げて……、それから、思い出したかのように…声を上げた。




呑んでもない癖に……



顔が、真っ赤だ。




「………。わかりやすいね、早瀬。」



昔は…見ることのできなかった、照れた顔。




新しい記憶が、ひとつ……


刻まれていく。










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