ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
『別れがあれば、出会いもある』。
幼ごころに身についた考えは…
青春時代までにも纏わり付いたまま…、変わることはない。
親の仕事の転勤で、まるで…全国行脚。
人生は、一期一会。
人との関わりさえも、気楽に……
思うがままに、
自分が楽しければ何もかも許されるかのように。
自由気ままに…生きる。
「え~、A判定?すげーな、お前。いつ勉強してんだよ。」
机の上に広げた全国模試の結果。
いつの間にやら見られたのか…
前の席の男…、浅沼真哉に、
ある日…そう言われた。
「なんでもそつなく熟すよなあ、早瀬って。ずりーなあ…。その要領の良さ、分けてくれ。」
決して嫌味なんかじゃなくて、
切実な思いなのだろうと思えるのは……。
ここが、進学を目的とする特進科のクラスであって。
皆の進路も…、既に決まりつつある、高2の夏頃の話であったから。
「………。違う違う。俺、めちゃ勉強してるし。」
「嘘こけ!だったら教科書くらい持ち帰れやボケぇ。」
「……バレてたか。」
どうやら、他人から見た自分は、そういうイメージらしい。
これこそが、客観視された…自分。
別に生き急ぐ訳ではないけれど、
思うがままに行動する俺に対して…
他人が評価する「俺」は、自分が思っている自分とそっくりそのまま……。
そうであると、疑いもしなかった。