ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。























夏休み前……。



ぽつぽつと蝉の声が聞こえるようになった頃。








「早瀬先生~、いるかあ~?」



1学年の担当教師が揃う、2階の職員室へと……




矢代先生が顔を出した。












「珍しーですね。…なんですか?」





彼に名前を呼ばれると…


今でも、少しドキっとする。



どれだけ説教と蘊蓄を聞かされていたのかが……よくわかる。








昔よりも白髪が増えた髪の毛。




それでも。




変わることない真っ直ぐな瞳は……





同じ教職に立っても、



圧倒的な威厳と…


優しさを持ち合わせていて。





お茶目なんだか、よく解らない含み笑いもまた…






俺のよく知る、相変わらずの、『先生』だ。








「コレ。」




先生が差し出したのは……




一枚の、封筒。





「…………?」






「案内状だ。……行けよ?」





「………。」









< 133 / 457 >

この作品をシェア

pagetop