ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。
夏休み前……。
ぽつぽつと蝉の声が聞こえるようになった頃。
「早瀬先生~、いるかあ~?」
1学年の担当教師が揃う、2階の職員室へと……
矢代先生が顔を出した。
「珍しーですね。…なんですか?」
彼に名前を呼ばれると…
今でも、少しドキっとする。
どれだけ説教と蘊蓄を聞かされていたのかが……よくわかる。
昔よりも白髪が増えた髪の毛。
それでも。
変わることない真っ直ぐな瞳は……
同じ教職に立っても、
圧倒的な威厳と…
優しさを持ち合わせていて。
お茶目なんだか、よく解らない含み笑いもまた…
俺のよく知る、相変わらずの、『先生』だ。
「コレ。」
先生が差し出したのは……
一枚の、封筒。
「…………?」
「案内状だ。……行けよ?」
「………。」