ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



「…………。」




気づけば……


通話ボタンを押していた。







青のカーテンの隙間から…

今宵、同じ月を…
私と同じように、見上げていたり…しないだろうか。



だって、今日は…



月がとても綺麗に見える。


















なのに………。

















『お掛けになった電話は、現在、使われておりません。もう一度電話番号を‐‐‐… 』














「………え……?」








女性の声の…

アナウンス。




「何で…?」



1度電話を切って。


発信履歴を確認するけれど。



表示されているのは、やっぱり早瀬の名前に間違いなくて……。



……一瞬、


思考が停止した。







もう一度だけ…と、


再度通話ボタンを押して…恐る恐る耳にあてると。





そのまま、ゆるゆると……


腕を下ろした。










メールは、苦手。

自分でそうわかっているのに……


僅かな希望にすがりたくて。





『早瀬、今なにしてる?』



この、同じ空の下に…

彼の存在がいるんだって確認したくて。




メールを送った。


いつ返って来るかもわからない返事を…


いくらでも待つキモチで。










でも……



無情にも、携帯はすぐさま…鳴り出した。




自分の送ったメールが……


宛先不明で返って来たのだ。




















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